「ホームページをリニューアルしたいんだけど、UIとかUXとか言われても何のことやら…」 「とりあえず、おしゃれでかっこいいサイトを作れば売れるんでしょ?」
Web制作の打ち合わせをしていると、経営者様や担当者様からこのような声をよくお聞きします。横文字の専門用語がいきなり出てくると、それだけで「難しそう」と身構えてしまいますよね。
でも、実はこの「UI(ユーアイ)」と「UX(ユーエックス)」という考え方は、Webサイトに限らず、私たちの日常生活のあらゆる場所に隠れている、とても身近なものなのです。
この2つの違いを正しく理解していないと、どんなに高いお金をかけて綺麗なホームページを作っても、「誰からも問い合わせが来ない」「見てもすぐに閉じられてしまう」という悲しい結果になりかねません。逆に言えば、この違いを知っておくだけで、お客様に愛され、しっかりと売上を生み出すサイトを作るための「成功の鍵」を手に入れることができます。
この記事では、IT用語が苦手な方でも直感的に理解できるよう、身近な「レストラン」や「車」に例えながら、プロの視点でわかりやすく解説します。
この記事でわかること
- UIとUXの決定的な違い(レストランや車での例え)
- 「見た目が良いだけ」のサイトが失敗する理由
- お客様を迷わせないための「おもてなし」の設計
- プロが現場で行っている「使いやすさ」を作る工夫
UIとUXの違いを「レストラン」で例えると?

まずは言葉の意味から整理しましょう。専門的な定義は置いておいて、イメージで掴んでいただくのが一番です。
UI(User Interface:ユーザーインターフェース)とは、「ユーザーとの接点」、つまり「利用者が目にしたり触れたりする部分すべて」を指します。 UX(User Experience:ユーザーエクスペリエンス)とは、「ユーザー体験」、つまり「そのサービスを利用して得られる感想や体験そのもの」を指します。
これだけだと少し抽象的ですので、皆さんがよく行く「レストラン」に例えてみましょう。
UI(インターフェース)は「メニュー表やお皿」
レストランにおけるUIとは、お客様が直接触れる道具や環境のことです。 見やすくて綺麗なメニュー表。 手に馴染んで使いやすいナイフやフォーク。 料理が映える美しいお皿。 座り心地の良い椅子や、店内の清潔な内装。
これら「目に見えるもの」「手に触れるもの」がUIにあたります。Webサイトで言えば、画面のデザイン、文字のフォーク(フォント)、クリックするボタン、入力フォームなどがこれに該当します。
UX(エクスペリエンス)は「美味しかった!という感動」
一方、レストランにおけるUXとは、そのお店で過ごした時間全体の感想です。 「料理がとても美味しかった」 「注文してから出てくるのが早くて助かった」 「店員さんの気配りが嬉しくて、居心地が良かった」 「また来たいと思った」
これら「心で感じる体験」や「満足感」がUXにあたります。Webサイトで言えば、「知りたい情報がすぐ見つかった」「申し込みがスムーズにできた」「この会社なら信頼できそうだと思った」という感情の変化がこれに該当します。
UIは「道具」、UXは「ゴール」
つまり、関係性としてはこのようになります。 「良いUI(使いやすいメニュー表やカトラリー)」を用意することは、「良いUX(快適な食事の時間)」を提供するための手段の一つです。
メニュー表(UI)がボロボロで文字が読めなければ、注文する時にストレスを感じてしまい、食事の満足度(UX)は下がります。 逆にお皿(UI)が美しければ、料理の味以上に気分が上がり、満足度(UX)が高まることもあります。 UIは、素晴らしいUXを生み出すための大切な「道具」や「きっかけ」なのです。
なぜ両方とも良くないとダメなのか?

「UIとUX、どっちが大事なの?」と聞かれることがありますが、答えは「両方揃っていないとビジネスとして成立しない」です。 片方だけ良くても、お客様は逃げていってしまいます。これも具体例で見てみましょう。
ケース1:UIは良いが、UXが悪い場合
想像してみてください。外観も内装も超一流で、メニュー表もおしゃれな高級レストランに入りました(UIが良い)。 しかし、肝心の料理が冷めていて不味く、店員さんの態度も悪かったとしたらどうでしょう? 「見た目はいいけど、もう二度と来ないな」と思いますよね。これが「UXが悪い」状態です。
Webサイトでも同じことが起きます。 パッと見のデザインは最新の流行を取り入れていておしゃれだけれど、欲しい情報がどこにあるのか全く分からない。 ページを開くのに何十秒も待たされる。 こんなサイトは、お客様に「使いづらい」「時間の無駄だ」という悪い体験(UX)を与えてしまい、すぐにブラウザを閉じられてしまいます。
ケース2:UXは良さそうだが、UIが悪い場合
逆に、知る人ぞ知る名店で、味は世界一だという噂を聞いて店に行きました(UXへの期待)。 しかし、入り口がどこか分からず、店内は暗くて足元が危なく、メニューは暗号のように難解で注文すらできない(UIが悪い)。 これでは、どんなに美味しい料理が待っていても、食べる前に「面倒くさいから帰ろう」となってしまいます。
Webサイトも同様です。 どんなに素晴らしい商品やサービスを持っていても、申し込みボタンが見つけにくかったり、入力フォームが複雑でエラーばかり出たりすると、お客様は購入や問い合わせを諦めてしまいます。これを専門用語で「離脱」と言いますが、要するに「機会損失」です。
UIとUXは、車の「両輪」のようなものです。 デザインという「見た目の美しさ(UI)」と、使いやすさという「体験の質(UX)」の両方が噛み合って初めて、Webサイトはお客様をゴールまで運ぶことができるのです。
Webサイトにおける「悪いUI」の具体例

では、具体的にWebサイトにおいて「ここがダメだとUXが下がる」というポイントはどこでしょうか。 経営者様や担当者様が自社のサイトをチェックする際に、ぜひ見ていただきたいポイントを挙げます。
1. 文字が小さすぎて読めない
これは「老眼鏡を忘れた状態で新聞を読む」ようなストレスを与えます。 特におしゃれさを重視しすぎて、薄いグレーの文字を使ったり、極端に小さなフォントサイズにしたりすると、情報を伝えるという本来の目的が果たせません。 お客様は「文字を読みたい」のではなく「情報を得たい」のです。読むことに労力を使わせるサイトは、親切とは言えません。
2. ボタンが「ボタン」に見えない
クリックしてほしい場所が、ただの文字なのか、リンクなのか分からないデザインもよくあります。 これは「ドアノブのないドア」のようなものです。押せると思って押したら何も反応しなかったり、逆に気づかずにスルーされたりします。 「ここは押せますよ」と直感的にわかる立体感や色使いをすることは、立派なUIの工夫です。
3. スマートフォンで見づらい
前回の記事でも触れましたが、スマホで見た時にパソコン用の画面がそのまま縮小されて表示されているサイトは、最悪のUIです。 指でいちいち拡大しないと操作できない状態は、お客様に「この店は入り口が狭くて入りにくいな」と思わせているのと同じです。 今や閲覧者の半数以上はスマホユーザーですので、スマホでの操作性を最優先に考える必要があります。
プロが見ている「UXデザイン」の裏側

私たち制作会社(Lalabyte)がWebサイトを作るとき、単に「かっこいい絵」を描いているわけではありません。 その裏側では、お客様がどのように考え、どのように動くかをシミュレーションする「設計図づくり」に多くの時間を使っています。
私たちが意識しているのは、次のような「おもてなし」の視点です。
「かっこいい」よりも「迷わせない」が最優先
プロのデザイナーにとって、一番の褒め言葉は「かっこいいサイトですね」ではありません。「迷わず目的のページに行けました」と言われることです。 例えば、お問い合わせボタンの色一つとっても、私たちは悩みます。 サイト全体のテーマカラーに合わせるのがおしゃれですが、あえて目立つ反対色(補色)を使って、「ここにボタンがありますよ!」と主張させることもあります。 これは、おしゃれさというUIを多少犠牲にしてでも、お客様が迷わないというUXを優先させる判断です。
ユーザーの「心の声」を先読みする
お客様がサイトを見ている時、心の中で何を呟いているかを想像します。 「料金はいくらなんだろう?」と思った瞬間に、すぐ近くに「料金表はこちら」というボタンがある。 「この会社の信頼性はどうかな?」と不安になったタイミングで、「導入実績」や「お客様の声」が表示される。 このように、ユーザーの心理変化に合わせて、必要な情報を必要な場所に配置することを「導線設計」と呼びます。これがうまくいくと、お客様はまるでエスコートされているかのように、スムーズにお問い合わせまで進んでくれます。
Lalabyteが目指すのは「ストレスゼロ」のサイト
私たちは、Webサイトを「優秀な営業マン」だと考えています。 優秀な営業マンは、身だしなみ(UI)が整っていて清潔感があり、お客様の話をよく聞き、欲しい答えを即座に返してくれるため、話していて心地よい(UX)ですよね。 Webサイトも同じです。 ページの読み込み速度が0.1秒遅れるだけで、お客様はストレスを感じます。 メニューの言葉が少し難しいだけで、思考が停止します。 そういった微細なストレスを徹底的に排除し、「気づいたら問い合わせていた」というくらい自然な体験を作ること。それが私たちの仕事であり、プロに依頼していただく最大の価値だと思っています。
まとめ
UIとUXの違いについて、イメージできましたでしょうか。
- UI(インターフェース):メニュー表、お皿、Webサイトの画面、ボタン。ユーザーとの「接点」。
- UX(エクスペリエンス):美味しい、居心地が良い、使いやすい。ユーザーが得る「体験」や「満足感」。
この2つは切っても切り離せない関係です。 「デザインは良いのに売れない」という場合は、見た目(UI)にこだわりすぎて、使い勝手(UX)がおろそかになっているかもしれません。 逆に「商品は良いのに見てもらえない」という場合は、中身(UX)を伝えるための表現(UI)が不足している可能性があります。
Web制作は、デジタル上にお店を建てるようなものです。 外観を整えるだけでなく、お客様がドアを開けてから帰るまでの「体験」すべてをデザインする。それが、成果が出るWebサイトの共通点です。
「うちのサイト、お客様にとって使いやすいのかな?」 「見た目は気に入ってるけど、問い合わせが増えないのはなぜ?」
もしそんな疑問をお持ちでしたら、ぜひ一度私たちにご相談ください。 デザインのプロとして、そして「おもてなし」の設計者として、あなたのビジネスに最適なUIとUXをご提案させていただきます。
