「そろそろ自社のホームページを新しくしたいけれど、まとまった費用を用意するのが難しい…」 「IT導入補助金を使えば安く作れると聞いたけれど、仕組みが難しそうで自分たちに使えるのか分からない…」
Web制作のご相談をいただくと、多くの経営者様やご担当者様から、このようなお金と制度に関するお悩みを伺います。特に「補助金」という言葉は魅力的ですが、申請の条件や手続きが複雑で、二の足を踏んでしまう方も多いのではないでしょうか。
ご安心ください。IT導入補助金は、正しく理解して活用すれば、あなたのビジネスを加速させる非常に強力な味方になります。
ただし、最初にお伝えしておかなければならない大切な事実があります。それは、「単なる会社紹介のホームページを作るだけでは、補助金の対象にならない」ということです。
「えっ、そうなの?」と驚かれたかもしれません。でも、がっかりする必要はありません。対象にならない理由を理解し、正しいアプローチをすれば、補助金を使ってWebサイトを構築する道は開かれています。
この記事では、ITが苦手な方でも直感的に理解できるよう、専門用語をできるだけ使わずに、2025年最新のIT導入補助金とホームページ制作の関係について、プロの視点でやさしく解説します。
この記事でわかること
- IT導入補助金とはどんな制度なのか(ざっくりとした仕組み)
- なぜ「ただのホームページ」は補助金の対象外になってしまうのか
- 補助金を使ってWebサイトを作るための具体的な条件と方法
- 2025年の申請で特に注意すべきポイント
- 面倒な手続きをプロ(支援事業者)に任せるメリット
目次
そもそも「IT導入補助金」ってどんな制度?

まずは、IT導入補助金がどのような制度なのか、基本的なイメージを掴んでおきましょう。難しく考える必要はありません。
国の「お墨付き」ITツール導入を支援する仕組み
IT導入補助金とは、一言で言えば「中小企業や個人事業主の皆さんが、業務を効率化したり売上を上げたりするためにITツールを導入する際、その費用の一部を国が補助してくれる制度」です。
ここで言う「ITツール」とは、パソコンに入っているExcelやWordのようなソフトだけでなく、インターネットを通じて利用する様々なサービス(クラウドサービス)も含まれます。例えば、会計ソフト、顧客管理システム、そして今回のテーマであるWebサイトなどが該当します。
ただし、世の中にある全てのITツールが対象になるわけではありません。国が「これは中小企業の生産性向上に役立つ」と事前に認定した「お墨付き」のツールだけが対象となります。
なぜ国が費用を補助してくれるの?
国がわざわざ税金を使って補助金を出すのには、明確な理由があります。それは、日本の中小企業の生産性を底上げしたいからです。
日本の多くの企業では、まだまだ紙やFAXでのやり取り、手入力でのデータ管理など、アナログな業務がたくさん残っています。これらをITの力で効率化し、そこで生まれた時間やお金を新しいビジネスや社員の給与アップに繋げてほしい。そうすることで日本経済全体を元気にしたい、という狙いがあるのです。
ですから、この補助金は「単に新しいパソコンが欲しい」「おしゃれなホームページを作りたい」といった目的ではなく、「ITを使って会社の課題を解決し、経営を良くする」という前向きな目的のために使われるものなのです。
【結論】ただのホームページ制作は「対象外」です

さて、ここが最も重要で、多くの方が誤解されているポイントです。 結論から申し上げますと、インターネット上に自社の情報を載せるだけの、いわゆる「名刺代わり」や「会社案内パンフレット代わり」のホームページ制作は、残念ながらIT導入補助金の対象外となります。
補助金がリニューアルされて厳しくなった背景
数年前までは、比較的シンプルなホームページ制作でも補助金の対象になるケースがありました。しかし、制度の見直しが行われ、現在では条件が非常に厳格になっています。
なぜなら、先ほどお伝えしたように、この補助金の目的は「業務効率化」や「生産性向上」だからです。
例えば、あなたがこれから家を建てるとします。「見た目がおしゃれな家」を建てただけでは、生活が便利になるとは限りませんよね。でも、「最新の全自動洗濯乾燥機」や「お掃除ロボット」といった「機能」を持った家電を導入すれば、家事の時間が短縮されて、生活の質(生産性)は確実に向上します。
ホームページもこれと同じです。ただ情報を載せているだけのサイトは「おしゃれな家」止まりで、業務を効率化する「機能」が足りないと判断されてしまうのです。
「会社案内」や「ブログ」だけではダメな理由
具体的に、以下のようなWebサイトは原則として対象外となります。
- 会社の住所や電話番号、事業内容だけを載せたコーポレートサイト
- 日々の出来事を綴るだけのブログサイト
- 商品の写真を並べただけのカタログサイト(購入機能なし)
これらは情報発信としては重要ですが、「それによって日々の業務がどれくらい楽になるか?」「売上がどう上がるか?」という問いに対して、明確な数字で効果を示すことが難しいため、補助金の趣旨に合わないと判断されるのです。
IT導入補助金を使ってWebサイトを作る「唯一の方法」

「それじゃあ、ホームページ制作には補助金は使えないの?」と諦めるのはまだ早いです。 「ただのホームページ」がダメなら、「業務を効率化する機能を持ったWebサイト」にすれば良いのです。これが、補助金を使ってWebサイトを構築する唯一のアプローチです。
キーワードは「業務効率化」と「売上アップ」の機能
IT導入補助金の対象となるためには、Webサイトに、バックオフィス業務(経理、人事、総務など)や、フロントオフィス業務(営業、顧客対応など)を効率化する「具体的な機能」が組み込まれている必要があります。
イメージとしては、ホームページという「家」の中に、業務を自動化してくれる「優秀なロボット」を住まわせるような感覚です。
では、具体的にどのような機能を持たせれば対象になり得るのか、いくつか例を見てみましょう。
具体例1:予約システム付きのサイト
美容室、整体院、飲食店、スクール事業などにおすすめなのがこのパターンです。 Webサイト上に、24時間365日、お客様が自分で空き状況を確認して予約を完了できる「予約システム」を導入します。
これにより、営業時間中の電話対応が減り、予約台帳への手書き記入や転記ミスもなくなります。スタッフの業務負担が大幅に減り、空いた時間で接客の質を上げることができます。これは立派な「業務効率化」と「生産性向上」です。
具体例2:顧客管理(CRM)機能付きのサイト
BtoB(企業間取引)のビジネスや、会員制のサービスを行っている企業におすすめです。 Webサイトのお問い合わせフォームから入力された情報が、自動的に裏側の「顧客管理システム」に登録されるようにします。
これにより、Excelで顧客リストを手動で更新する手間がなくなります。また、過去の問い合わせ履歴をすぐに確認できたり、特定の条件のお客様にメールマガジンを一斉配信したりといった営業活動の効率化も実現できます。
具体例3:ECサイト(ネットショップ)※ここは注意が必要
商品をインターネット上で販売し、決済まで完了できるECサイトは、「売上アップ」に直結する機能を持っているため、以前はIT導入補助金の代表的な活用例でした。
しかし、ここ数年でECサイトに関するルールは大きく変動しています。「インボイス対応」が必須条件になったり、対象となる「枠」が変わったりと、非常に複雑になっています。 2025年の最新ルールにおいても、ECサイトがどの枠でどのような条件で対象になるかは、公募要領を細かく確認する必要があります。安易に「ECサイトなら大丈夫」と思わず、必ず専門家に相談することをお勧めします。
2025年の申請で注意すべきポイント

IT導入補助金は毎年ルールが変わります。2025年の申請に向けて、特に意識しておくべきポイントをお伝えします。
スケジュールは非常にタイト。早めの準備が肝心
IT導入補助金は、いつでも好きな時に申請できるわけではありません。1年の中で数回、「公募期間」と呼ばれる申請受付期間が設けられます。それぞれの期間には締切があり、それを過ぎると次の回まで待たなければなりません。
人気の補助金であるため、予算の上限に達すると予定より早く終了してしまう可能性もあります。「いつかやろう」ではなく、自社の決算時期や導入したいタイミングから逆算して、余裕を持って準備を始めることが重要です。
「みらデジ経営チェック」が必須要件に
近年、申請の必須要件として「みらデジ経営チェック」の実施が求められるようになっています。 これは、経済産業省が提供している無料のオンライン診断サービスです。自社の経営課題やデジタル化の進み具合を簡単な質問に答えるだけで診断できます。
補助金を申請する前に、まずは自社の現状を客観的に把握し、「なぜITツールが必要なのか」を整理するためにも、この診断は早めに受けておきましょう。
プロ(支援事業者)に任せると何が違う?

IT導入補助金の申請は、自社だけで行うことはできません。必ず国から認定された「IT導入支援事業者」というパートナーと共同で申請する必要があります。私たちLalabyteも、この支援事業者に認定されています。
では、支援事業者は具体的に何をしてくれるのでしょうか。
面倒な申請手続きを二人三脚でサポート
補助金の申請には、膨大なページ数の「公募要領」を読み解き、様々な書類を準備し、専用の申請システムに不備なく入力するという、非常に煩雑な作業が伴います。ITや行政手続きに慣れていない方にとっては、これだけで大きなストレスになります。
支援事業者は、これらの手続きをナビゲートし、スムーズな申請をサポートします。疑問点があればすぐに相談できるパートナーがいることは、大きな安心感につながります。
「採択されるための事業計画」を一緒に考える
これが最も重要なポイントです。補助金は申請すれば必ずもらえるわけではなく、審査があり、「採択」される必要があります。 審査員は提出された事業計画を見て、「この会社はITツールを使って本当に生産性を上げられそうか?」「導入効果の目標数値は妥当か?」を判断します。
支援事業者は、Web制作のプロとしての知見と、過去の採択実績に基づき、「どのような機能を持たせたWebサイトにすれば採択されやすいか」「説得力のある事業計画書をどう書くか」を一緒に考え、提案します。 単にツールを売るだけでなく、あなたの会社の経営課題に向き合い、補助金採択とその後のビジネスの成功まで伴走するパートナー。それがIT導入支援事業者なのです。
