「ホームページを作りたいんですが、LP(ランディングページ)というのもあると聞きました。どっちを作ればいいんですか?」
Web制作の現場に立っていると、お客様から最も多くいただくご質問の一つがこれです。 HPとLP。アルファベットが似ているので、Webに詳しくない方からすれば「何が違うの?」「どっちも同じウェブサイトでしょ?」と思われてしまうのも無理はありません。
しかし、この2つは役割が全く異なります。 もし、この違いを知らずに「なんとなく」で作ってしまうと、「採用を強化したいのにLPを作ってしまった」「商品を爆発的に売りたいのにHPを作ってしまった」というように、目的に合わない道具を使って失敗してしまうリスクがあります。
逆に言えば、この2つの使い分けさえ正しく理解できれば、あなたのビジネスの目的に合わせて、無駄なコストをかけずに最大の成果を出すことができるようになります。
この記事では、専門用語を一切使わず、身近な「カタログ」と「チラシ」に例えながら、プロの視点でLPとHPの決定的な違いを解説します。
この記事でわかること
- LPとHPの決定的な役割の違い(チラシとカタログ)
- なぜLPはあんなに縦に長いページなのか?
- あなたのビジネスには「どっち」が必要なのかの判断基準
- プロが現場で行っている「売れる」ための使い分け戦略
目次
LPとHPは「役割」が全く違う

まずは結論から申し上げます。 HP(ホームページ)とLP(ランディングページ)の違いは、「情報の整理」か「行動の誘導」か、という目的の違いにあります。
これを皆さんの身近なものに例えると、非常にわかりやすくなります。
HP(ホームページ)は「総合カタログ」や「名刺」
HPは、あなたの会社の「顔」です。 会社概要、サービス紹介、スタッフ紹介、採用情報、ブログなど、会社に関するあらゆる情報が網羅されています。
これを紙の媒体で例えるなら、「会社のパンフレット」や「商品の総合カタログ」です。 読者は、ページ内のメニュー(目次)を使って、自分の知りたい情報があるページへ自由に行き来します。 「どんな会社なんだろう?」「信頼できるのかな?」「他にどんな商品があるのかな?」といった、お客様の「知りたい」という幅広いニーズに応えるのがHPの役割です。
LP(ランディングページ)は「折り込みチラシ」や「セールスマン」
一方でLPは、たった一つの目的を達成するために作られたページです。 その目的とは、「商品の購入」や「お問い合わせ」といった具体的なアクションをお客様に起こしてもらうこと。
これを紙の媒体で例えるなら、「新商品の折り込みチラシ」です。 チラシには、会社の住所や歴史は小さくしか書かれていませんよね。その代わり、「この商品がいかに素晴らしいか」「今買うとどんな特典があるか」がデカデカと書かれています。
あるいは、テレビ通販の「実演販売」をイメージしてください。 「皆さん、この掃除機を見てください!すごい吸引力でしょう?今ならこの付属品もついて、お値段なんと…!」 このように、一つの商品に絞って魅力を伝え切り、その場で「欲しい!」と思わせて注文してもらう。これがLPの役割です。
なぜLPは「縦に長い」の?

LPを見たことがある方は、「なんでこんなに縦に長いの?」と疑問に思ったことがあるかもしれません。 HPはいろいろなページに分かれているのに、LPは1枚の長いページになっています。実はこれには、人間の心理に基づいた明確な理由があります。
「優秀な営業トーク」を再現しているから
LPが長い理由は、優秀な営業マンのセールストークをそのままWebページ上で再現しているからです。
もしあなたが営業マンだとして、お客様に商品を売る時、いきなり「買ってください!」とは言いませんよね。 おそらく、次のような順番で話を進めるはずです。
- 挨拶・共感: 「最近、肩こりに悩んでいませんか?」(興味付け)
- 問題提起: 「放っておくと頭痛の原因にもなりますよね…」(危機感)
- 解決策の提示: 「そんな時、この枕がおすすめなんです!」(商品紹介)
- 証拠・実績: 「実は医師も推奨していて、1万人が愛用しています」(信頼獲得)
- クロージング: 「今なら30日間返品保証付きです。試してみませんか?」(背中を押す)
この一連の流れを、上から下へと順番に読んでもらうために、LPは縦に長くなっているのです。 ページを分けずに1枚にすることで、途中で話が途切れることなく、最後まで熱量を保ったままお客様を説得することができます。
「よそ見」をさせないための工夫
もう一つ、LPには大きな特徴があります。それは「他ページへのリンク(メニューボタン)がない」ということです。 HPには「会社概要」や「ブログ」へのリンクがありますが、LPには原則として「注文ボタン」しかありません。
これは、お客様の「逃げ道」を塞ぐためです。 せっかく商品の説明をしていい雰囲気になっている時に、「あ、ブログも面白そうだな」と別のページに移動されてしまったら、購入の熱が冷めてしまいますよね。 LPは、入り口から入ったら、出口は「注文する」か「ページを閉じる」かの二つに一つしかない、「一方通行のトンネル」のような構造になっているのです。
あなたに必要なのはどっち?判断基準

LPとHPの違いがわかったところで、経営者の皆さんが一番知りたいのは「結局、うちはどっちを作ればいいの?」ということだと思います。 判断の基準は、Webサイトを使って「何をしたいか」によって決まります。
こんな時は「HP」を作りましょう
- 会社の信頼性を高めたい: 銀行からの融資を受ける際や、新規取引先との契約時、しっかりとしたHPがあることは信頼の証になります。
- 採用活動を強化したい: 求職者は必ずHPを見て、「どんな社長か」「どんな先輩がいるか」をチェックします。
- 長期的に情報を発信したい: ブログやニュースを更新して、ファンを育てていきたい場合はHPが必要です。
- まだ名刺代わりのサイトも持っていない: まずはビジネスの土台としてHPを持つことをおすすめします。
こんな時は「LP」を作りましょう
- 特定の商品やサービスを売り込みたい: 「主力商品の化粧品を売りたい」「春の入会キャンペーンを行いたい」など、売りたいものが明確な場合。
- Web広告を出稿する予定がある: リスティング広告やSNS広告をクリックした先が、情報の多いHPだとお客様は迷ってしまいます。広告の受け皿としてはLPが必須です。
- 短期間で成果(問い合わせ)が欲しい: HPはじわじわと効果が出るものですが、LPは作った直後から「売る」ことに特化して機能します。
プロの推奨は「両方持ち」
実は、多くの成功している企業はHPとLPの両方を持っています。 「本店のデパート(HP)」を構えて信頼を獲得しつつ、特定の客層に向けて「特設ブース(LP)」を出して売上を作る。 この両輪が回ることで、ビジネスは安定して成長します。
予算の都合でどちらか一つから始める場合は、まずは「名刺代わりのHP」を作り、次に「攻めのLP」を作るという順番が一般的ですが、業種によっては逆のパターン(まずLPで売上を作ってからHPを整える)が有効な場合もあります。
実務の現場から:プロに任せると何が違う?

「LPなら、自分で文章を書いて無料ツールで作れそうだな」 そう思われる方もいるかもしれません。確かにツールを使えば形にはなりますが、プロが作るLPとは「成果」に雲泥の差が出ます。
私たちLalabyteのような制作会社にご依頼いただくメリットは、単に綺麗なデザインを作ることではありません。
「売れるためのシナリオ」を設計する
プロは、デザインをする前に「誰に」「何を」「どう言うか」という設計図作りに最も時間を使います。 「30代の忙しい主婦に向けたサービスなら、スマホで見た時に片手で操作しやすいボタン配置にしよう」 「高額な商品だから、信頼感を出すために落ち着いた色味と明朝体のフォントを使おう」 「お客様が不安に思うポイントを先回りして、Q&Aコーナーで解消しよう」
このように、ターゲットの心理を深く分析し、読み進めるごとに「欲しい!」という気持ちが高まるようなシナリオ(構成)を緻密に計算しています。これが、素人が作ったLPとの決定的な違いです。
広告運用との連携
LPは作って終わりではありません。そこに人を集めるための「広告」とセットで考える必要があります。 「どんなキーワードで検索した人に見せるか」「Instagram広告ならどんな画像で惹きつけるか」 プロのWebディレクターは、LPの中身だけでなく、そこに至るまでの導線も含めてトータルで提案します。
「せっかくLPを作ったのに、誰にも見られていない」 「広告費ばかりかかって、全然注文が入らない」 そんな悲しい事態を防ぐためにも、全体の戦略を描けるプロに相談することが、成功への近道です。
まとめ
HPとLPの違いについて、イメージできましたでしょうか。
- HP(ホームページ): 網羅的な情報を載せた「総合カタログ」。信頼獲得やブランディングが得意。
- LP(ランディングページ): 1つの目的に特化した「チラシ・実演販売」。購入や問い合わせ獲得が得意。
- 特徴の違い: HPは回遊させる。LPは逃がさない(縦長・リンクなし)。
Webサイト制作は、決して安い買い物ではありません。 だからこそ、「なんとなく」で作るのではなく、「何のために作るのか」を明確にして、最適な道具を選ぶことが大切です。
「うちは商品を売りたいんだけど、HPとLPどっちが合ってるのかな?」 「今のHPだと問い合わせが来ないから、LPを作った方がいいのかな?」
もしそんな迷いがあれば、ぜひLalabyteにご相談ください。 あなたのビジネスの現状と目標をヒアリングし、カタログを作るべきか、チラシを配るべきか、プロの視点で最適なプランをご提案させていただきます。
