「ホームページを作りたいけれど、セキュリティとか難しそうでよくわからない」
「最近、ブラウザのアドレスバーに『保護されていない通信』と出て不安になる」
Web制作の現場にいると、こういったご相談を毎日のようにいただきます。特にITがあまり得意ではない経営者の方や、初めてWeb担当になった方にとって、「SSL(エスエスエル)」や「https」といったアルファベットの専門用語は、それだけで頭が痛くなる原因ですよね。
でも、安心してください。この「SSL化」というのは、例えるなら家の玄関に鍵をかけることと同じくらい、シンプルかつ重要なことなんです。
もし、あなたのお店や会社のホームページがまだSSL化されていなかったとしたら、それは「鍵のかかっていない家にお客様を招いている」のと同じ状態かもしれません。
この記事では、私たちLalabyteがプロの視点から、SSL化の仕組みや重要性を、専門用語をできるだけ使わずに解説します。読み終わる頃には、「なんだ、そういうことだったのか!」とスッキリ理解できているはずです。ぜひ、コーヒーでも飲みながらリラックスして読んでみてくださいね。
この記事でわかること
- 「SSL化(https)」の仕組みが、専門用語なしの例え話でわかる
- 鍵マークがないサイトを放置した場合の「具体的な危険性」
- 無料のSSLと有料のSSL、プロはどう使い分けているのか
- 自分でやるのとプロに任せるのとでは、何が違うのか
目次
SSL化(https)とは?「ハガキ」と「封筒」で考える仕組み

まず、「SSL(Secure Sockets Layer)」という言葉の意味ですが、これはインターネット上でやり取りする情報を「暗号化」する仕組みのことです。
これだけだと少しイメージしづらいですよね。もっと身近な、「手紙」に例えてみましょう。
SSL化されていない状態(http)=「透明なハガキ」
SSL化されていないホームページで情報を送ることは、透明なハガキで手紙を送るようなものです。
例えば、あなたがホームページのお問い合わせフォームから「名前」や「電話番号」を送るとします。そのデータは、インターネットという広い世界を旅してサーバー(データの保管場所)に届きます。
もし、このハガキが透明だったらどうでしょう? 郵便配達の途中、誰かに中身をチラッと見られたら、書いてある内容が丸見えですよね。これが「暗号化されていない」状態です。
SSL化されている状態(https)=「頑丈な封筒」
一方、SSL化されたホームページは、中身の透けない頑丈な封筒に入れて手紙を送るようなものです。
送信ボタンを押した瞬間、あなたの情報はバラバラの無意味な文字の羅列(暗号)に変換されます。たとえ途中で誰かがその手紙を盗み見たとしても、中身は解読不能な文字の集まりにしか見えません。そして、目的地であるサーバーに届いた時だけ、専用の鍵を使って元の文章に戻されます。
ホームページのアドレス(URL)が「http」ではなく「https」になり、ブラウザの端に「鍵マーク」がつくのは、「このサイトは封筒で守られていますよ」という証明なのです。
「鍵マーク」がないと何が起きる?放置する3つの危険性

「うちは個人情報を入力させるようなサイトじゃないから大丈夫」
そうおっしゃる経営者の方もいますが、実はその考え方は少し危険です。SSL化していないサイトを放置することには、情報の流出以外にも大きなリスクがあります。
1. データの「盗聴」と「改ざん」のリスク
先ほどのハガキの例でお話しした通り、一番のリスクは通信内容を第三者に見られてしまう「盗聴」です。
パスワードやクレジットカード情報はもちろんですが、もっと怖いのは「改ざん」です。
例えば、あなたが発信している正しい情報のページを、悪意のある第三者が書き換えてしまい、お客様を偽のサイトへ誘導するリンクを埋め込んだり、ウイルスを仕込んだりする可能性があります。「ハガキの配達途中に、勝手に文章を書き換えられる」と想像すると、その怖さがわかるかと思います。
2. 「保護されていない通信」という警告による信頼低下
現在、Google Chromeなどの主要なブラウザでは、SSL化されていないサイトを開くと、アドレスバーに「保護されていない通信」や「安全ではありません」といった警告文が目立つように表示されます。
これを見た訪問者はどう思うでしょうか?
「この会社のサイト、大丈夫かな?」「管理が行き届いていない会社なのかな?」と不安になり、すぐにページを閉じてしまうでしょう。
つまり、セキュリティの問題だけでなく、会社としての信頼(ブランドイメージ)を損なうという大きな営業損失に繋がるのです。
3. Google検索順位への悪影響(SEOリスク)
Web集客を考えているなら、これも無視できません。Googleは公式に「SSL化しているサイトを検索順位で優遇する」と発表しています。
同じような内容のサイトが2つあった場合、鍵マークがついているサイトの方が検索結果の上位に表示されやすくなります。逆に言えば、SSL化していないだけで、集客のスタートラインから出遅れてしまうのです。
プロはここを見ている!SSL証明書の種類と使い分け

一口に「SSL化」と言っても、実はその信頼度によっていくつかのランク(種類)があります。これを「家」と「表札」に例えて解説しましょう。
以下の表に、主な3つの種類をまとめました。
| SSLの種類 | 認証レベル | 特徴(例え) | 向いているサイト |
| ドメイン認証型 (DV) | レベル1 | 「表札だけの家」 誰でもすぐに表札を出せる。住所(ドメイン)の持ち主であることだけを確認。 | 個人ブログ 趣味のサイト 社内用ポータル |
| 企業認証型 (OV) | レベル2 | 「登記簿を確認された家」 その家(組織)が実在するか、公的な書類で審査される。偽装が難しい。 | 一般企業の公式サイト コーポレートサイト 小規模ECサイト |
| EV認証型 (EV) | レベル3 | 「警備員付きの豪邸」 非常に厳しい審査をクリアした組織のみ。最高レベルの信頼性。 | 金融機関 大手通販サイト 官公庁 |
実務での選び方
Web制作を学び始めたばかりの方や、予算を抑えたい場合は「ドメイン認証型(DV)」から始めても技術的な暗号化強度は変わりません。最近では「Let’s Encrypt」のような無料のSSLも普及しており、個人のポートフォリオサイトならこれで十分です。
しかし、私たちLalabyteが企業の公式サイトを制作する場合、基本的には「企業認証型(OV)」をおすすめすることが多いです。なぜなら、Webサイトにおける「なりすまし(フィッシング詐欺サイト)」を防ぐため、「この会社は実在しますよ」という証明がビジネスにおいて重要だからです。
コストはかかりますが、それがお客様への「安心料」であり、企業の信頼性を担保する「身分証明書」代わりになるのです。
「ボタン一つで終わり」ではない?プロに依頼するメリット

最近のレンタルサーバーは「無料独自SSL」などの機能があり、ボタン一つで設定できるように見えます。
「じゃあ、自分でやればいいじゃないか」と思われるかもしれません。
しかし、Web制作のプロがSSL化を行う際、単に「設定をONにする」だけでなく、裏側で非常に細かい調整を行っています。ここが、素人作業とプロの仕事の大きな違いです。
1. 「http」から「https」への転送設定(301リダイレクト)
SSL設定をONにしただけでは、実は「http(鍵なし)」と「https(鍵あり)」の2つのサイトが存在する状態になってしまいます。
以前の名刺やリンクから「http」にアクセスした人が、自動的に「https」の安全なページに転送されるように設定(リダイレクト)しないと、お客様はいつまでも危険なページを見ることになります。また、Googleからの評価も分散してしまい、検索順位が下がる原因にもなります。
2. 「混合コンテンツ(Mixed Content)」の修正
これが一番厄介なトラブルです。
「https」にしたはずなのに、なぜか鍵マークがつかない、あるいは鍵マークに警告がついている…。
これは、ページの中にある画像や読み込んでいるファイルの一部が、古い「http」のままになっている状態です。
「家全体はリフォームして鍵をかけたけれど、勝手口だけ開けっ放し」のような状態ですね。
プロは、サイト内の何百という画像リンクやプログラムの記述をチェックし、全てを安全な「https」経由に書き換える作業を行います。
3. 更新管理とトラブル対応
SSL証明書には有効期限があります。更新を忘れると、ある日突然サイトが表示されなくなり、「このサイトは危険です」という真っ赤な画面が表示されてしまいます。これは企業にとって致命的です。
制作会社に保守を依頼していれば、こうした更新管理も全て任せられるため、本業に集中することができます。
まとめ:SSL化は「お客様へのおもてなし」の第一歩
SSL化(https)について、専門用語を使わずに解説してきましたが、いかがでしたでしょうか。
- SSL化は、情報を「封筒」に入れて守る仕組み
- 放置すると「盗聴」「なりすまし」のリスクに加え、「信頼の低下」を招く
- 企業のサイトなら、実在証明ができるランクのSSLを選ぶのがベター
- 完全なSSL化には、サーバー設定や内部リンクの修正など専門知識が必要
Webサイトにおいて、セキュリティ対策は単なる「守り」ではありません。
「私たちのサイトは安全ですよ。安心して見ていってくださいね」という、お客様に対する最初のおもてなしであり、マナーなのです。
もし、「自分のサイトが正しくSSL化できているか不安」「これから作るサイトのセキュリティをしっかりしたい」とお考えであれば、ぜひ一度私たちプロにご相談ください。
目に見えない部分だからこそ、しっかりとした土台作りをお手伝いさせていただきます。
