ノーコード時代でも「コーディング」が必要な理由|Webデザイナーの生存戦略

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「これからの時代、Webデザイナーにコーディングスキルはもう不要ですか?」 「CanvaやWix、Studioを使えば、コードが書けなくてもWebサイトは作れますよね?」

これからWeb業界を目指す方や、キャリアの方向性に迷いを感じているデザイナーの方から、こうした質問をいただく機会が非常に増えました。

確かに、現代のWeb制作ツール(ノーコードツール)の進化は目を見張るものがあります。ドラッグ&ドロップだけで、洗練されたデザインのサイトが一瞬で組み上がる時代です。「もはやHTMLやCSSを勉強するのは、時間の無駄ではないか」と感じるのも無理はありません。

しかし、現役のWeb制作者として、そして現場で通用するプロを育成するスクールとして、結論を申し上げます。

「プロとして長く生き残りたいなら、コーディングスキルは絶対に必要です」

なぜ、これほど便利なツールが溢れる時代に、あえて「コードを書く技術」が求められるのでしょうか? それは、ツールが「80点のサイト」を作るものだとしたら、ビジネスの最前線でクライアントが求めているのは「100点、あるいは120点の成果」だからです。その「残りの20点」を埋めるために、コードの理解が不可欠なのです。

この記事では、ノーコード全盛の今だからこそ知っておくべき「コーディングが必要な理由」と、コードを理解したデザイナーだけが手にできる「生存戦略」について、現場の視点から徹底的に解説します。

Lalabyte 編集部
Lalabyte 編集部
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この記事でわかること

  • ノーコードツールだけで制作活動をする「市場価値」の限界
  • プロ品質(SEO・表示速度)を担保するためにコードが必要な技術的理由
  • AI時代において「コードがわかるデザイナー」が重宝される理由
  • 挫折せずにコーディングスキルを身につけるための学習のヒント

1. ノーコードツールの「光」と「影」を正しく理解する

まず、現在のWeb制作環境におけるノーコードツールの立ち位置を整理しましょう。敵を知り己を知ることが、生存戦略の第一歩です。

ノーコードの圧倒的なメリット

Wix、Studio、Webflow、あるいはShopifyのようなツールには、明確なメリットがあります。

  • 制作スピード: 構築までの時間が圧倒的に短い。
  • コスト削減: エンジニアをアサインせずに一人で完結できる。
  • 直感的な操作: デザインツール(Figmaなど)に近い感覚で触れる。

これらは、予算が限られた小規模なランディングページ(LP)や、個人のポートフォリオサイトを作る上では非常に強力な武器です。これらを否定する必要はありません。むしろ、案件の規模や予算に合わせてこれらを「選択肢の一つ」として使いこなすことは、現代のクリエイターにとって必須のスキルです。

「誰でも作れる」が生む市場価値の暴落

しかし、ここに大きな落とし穴があります。「誰でも簡単に作れる」ということは、裏を返せば「作ること自体の価値が下がる」ということを意味します。

かつては「ホームページが表示される」だけで数十万円の価値がついた時代もありました。しかし今は、テンプレートを使えば素人でもそれっぽいサイトが作れます。もしあなたが「ノーコードツールの操作が得意なだけ」のデザイナーであれば、あなたの競合はプロの同業者ではなく、「クライアント自身」や「安価なアルバイト」、あるいは「AI」になってしまいます。

「あなたにお願いしたい」と言われるプロであり続けるためには、「ツールの標準機能」を超えた価値提供が必要です。そこで立ちはだかるのが、まさに「コーディングの壁」なのです。


2. なぜプロに「コード理解」が不可欠なのか? 〜3つの技術的理由〜

クライアントワーク(受託制作)の現場では、ノーコードツールだけではどうしても超えられない「3つの壁」に直面します。これらを突破できるかどうかが、アマチュアとプロの分水嶺となります。

理由①:デザインの再現性と「あと1ミリ」の調整

クライアントの要望は、常にツールの仕様通りとは限りません。

  • 「このボタン、マウスを乗せた時にもっとフワッと光らせたい」
  • 「スマホで見た時だけ、この要素の並び順を逆にしたい」
  • 「スクロールしたらヘッダーのデザインを変形させたい」

ノーコードツールは、あらかじめ用意された設定の範囲内でしか動けません。「あと数ピクセルずらしたい」「独特なアニメーションを入れたい」といった細かな要望が出た瞬間、コードがわからないデザイナーは「すみません、ツールの仕様でできません」と断るしかなくなります。

しかし、HTML/CSS、そしてJavaScript(jQuery)の知識があれば、「できますよ(カスタムCSSで対応します)」と即答できます。たった数行のコードで解決できる問題のために、クライアントの信頼を失うのはあまりに惜しいことです。自由自在なカスタマイズ性こそが、プロの仕事です。

理由②:SEOと表示速度(Googleはコードを見ている)

ここが最も重要なポイントですが、Googleの検索エンジンは、Webサイトの「見た目」ではなく「コード」を見て評価しています。

ノーコードツールで生成されるコードは、汎用性を高めるために、どうしても「無駄な記述」が多くなりがちです。

  • 不要なdivタグのネスト: 構造が深くなり、読み込みが遅くなる。
  • 肥大化したCSS/JS: 使っていない機能のコードまで読み込まれる。
  • セマンティックでないマークアップ: どこが見出しで、どこが本文か、機械に伝わりにくい。

これらは、Webサイトの表示速度(Core Web Vitals)やSEO順位に悪影響を及ぼします。 きちんと手書き(コーディング)されたサイトは、無駄がなく軽量で、構造が美しい。結果としてGoogleに好かれやすく、検索順位も上がりやすい傾向にあります。「綺麗なサイトを作ったのに、なぜか検索に出てこない」という悩みを持つクライアントに対し、内部構造から改善提案ができるのは、コーディングを知る者だけです。

理由③:トラブルシューティング能力

Webサイトの運用中には、予期せぬトラブルがつきものです。「レイアウトが崩れた」「フォームが送信できない」「特定のスマホだけで表示がおかしい」。

こうした時、コードが読めない人は「再起動してみる」「ツール会社に問い合わせる」くらいしか対処法がありません。しかし、HTMLやCSSの仕組みを理解していれば、ブラウザの検証ツール(デベロッパーツール)を開き、*「あ、この要素の幅指定が原因だ」と、数分で原因を特定できます。

トラブルが起きた時に「魔法」のように原因を見抜き、解決できる。これこそが、クライアントが「お金を払ってでも側にいてほしい」と思うパートナーの姿です。


3. Webデザイナー × コーディング = 希少価値

コーディングスキルは、単に「サイトを作るため」だけのものではありません。あなたのキャリアにおける「希少価値」を高めるための掛け算の要素です。

「実装可能か」を判断できるデザイナーは強い

コーディングを知らないデザイナーが作るデザインデータ(カンプ)は、時としてエンジニアを絶望させます。「このデザイン、スマホでどう動く想定ですか?」「このレイアウト、実装コストが通常の3倍かかりますが大丈夫ですか?」といった摩擦が現場では頻繁に起こります。

HTML/CSSの構造が頭に入っているデザイナーは、デザインを作る段階で「これは実装しやすい」「ここはコードで表現した方が軽い」という判断ができます。その結果、手戻りが減り、エンジニアとの共通言語で話せるため、チーム全体の生産性が爆発的に上がります。

このような「実装を意識したデザインができる人材」は、制作会社や事業会社から非常に重宝されます。

ディレクション・進行管理へのステップアップ

将来的に手を動かす制作から、プロジェクト全体を管理するWebディレクターへキャリアアップする場合も、技術知識は必須です。 エンジニアに対して的確な指示を出し、工数(見積もり)の妥当性を判断するには、自分自身が「どうやって作るか」を知らなければなりません。コーディングスキルは、将来のキャリアパスを広げるためのパスポートでもあります。


4. AI時代におけるコーディングの役割

「でも、ChatGPTにコードを書かせればいいのでは?」という意見もあるでしょう。 確かにAIは優秀なアシスタントですが、あくまで「指示待ち」のツールです。

  • 何を書かせるか(指示):適切なプロンプトを出すには、専門用語と構造の理解が必要です。
  • 正しいかどうかの判断(レビュー):AIが出したコードが最新の仕様に合っているか、バグがないかを確認するのは人間の役割です。
  • 修正と統合:既存のサイトの一部にAIのコードを組み込む際、干渉しないように調整する力が必要です。

これからの時代は、「ゼロからコードを暗記して書く力」よりも、「コードの構造を理解し、AIを使って効率よく組み上げる力」が求められます。その基礎となるのは、やはりHTML/CSSの根本的な理解です。


5. まとめ

ノーコードツールは素晴らしい発明ですが、あくまで「決められたレールの上を速く走るための乗り物」です。 一方で、コーディングスキルは「道なき道を進み、空を飛ぶための翼」です。

クライアントの「こうしたい!」という想いを100%叶えるため。 検索エンジンに正しく評価され、ビジネスの成果を出すため。 そして何より、あなた自身が「できない」という制限から解放され、自由にクリエイティブを発揮するため。

Webデザイナーにとって、コーディングを学ぶことは「苦行」ではなく、クリエイターとしての可能性を広げる「投資」です。

独学に限界を感じたら「Lalabyte」へ

とはいえ、 「HTMLとかCSSとか、英語の羅列を見るだけで頭が痛くなる…」 「独学でやってみたけど、レイアウトが崩れて挫折した」 という方も多いはずです。

私たちLalabyte(ララバイト)は、単にコードの書き方を教えるだけのスクールではありません。 「なぜそのコードが必要なのか」「実務ではどう使い分けるのか」といった、現場直結の思考法をお伝えしています。

  • テンプレートに頼らない「100%オリジナル」の構築力
  • SEOを意識したセマンティックなマークアップ
  • jQuery/SCSSを用いた効率的かつ高度な実装

これらを体系的に学び、ノーコードの限界を超えた「選ばれるWebクリエイター」になりませんか? まずは、あなたの作りたいもの、なりたい姿をお聞かせください。私たちが、その「壁」を乗り越えるサポートを全力でいたします。

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